小説

なおやくんとおさむくん(読書会のお知らせ)

明日も読書会ですよ。 先週土曜日の読書会は幹事長の乱心で論が空転しましたが、 日曜日は新入生が一人しか来て(なくて衝撃を受け)たんですが、 明日も読書会をします。メインは太宰治。 因縁の仲たる太宰治と志賀直哉と、 あと高橋源一郎も読書会用のレジ…

向田邦子の手紙の誤配可能性一般について

・『存在論的、郵便的』のオチが意外に予想通りで驚いた。 とはいえそこへ到るまでの過程が抜群に面白い。 『キャラクターズ』なんかより『ファントム、クォンタム』なんかよりずっと小説的感動を呼び起こしてくれる一冊。 主役がデリダ。助演があずまん。 …

荻世いをらの鮮烈な風景とその手触り

「商店街のような、そうでないような、車が一台半ほど通れる中途半端な広さの道が続いている。空気が澄んでいて夕陽は透明であり、そのくせ色々の影は脂っこい黒さでそこかしこに潜んでいるから、なかなか開けた場所なのにも拘らず、これらの景色にはまった…

小説がぐるぐるするのにうってつけの場所

「金を出せと言われる。 まるで台詞だと思う。あまりにふつうであまりに出来すぎている。いや、台詞だってもうちょっと捻くれるにちがいない。だったらなんだ。」 (『さようなら風景よ、サヨナラ』(荻世いをら)より) やっぱりスロースターターだなぁと思…

つまらない小説=つまらない書き手ではありません。

今日からちょっと合評会の話をします。 今回は、その下準備を。 前回まで岡田利規さんの小説の文体をいじくっていたのもそのためです。 前回僕はこう書きました。 僕らは別に岡田利規さんや平野啓一郎さんと、 直接会って深い話をしたでもないのに、 この二…

ためらいながらにフリータイム「3」

ちょっと、いまPCの前で、↓の体勢をしてみて下さい。 「わたしの体は、また仰向けに近い体勢に戻っていた。 右脚の膝を立てていて、外側のくるぶしを、左足の左脇の、 膝の皿の周りの窪みのあたりと今にも接しそうな位置に置いていた。」 (『私の場所の複…

ためらいながらにフリータイム「2」

「わたしたちはかつて、観客の一人から、あれは確か、なにかのレパートリーを上演した、その終演後に観客との質疑応答の機会がもうけられたときだったか、あるいは公演のときではなく、劇作家か演出家のどちらかが、なにか公演のイベントに出演したときにだ…

「読書会」の周辺をぐるぐるする

昼過ぎに起きて「いいとも!」を見ながら、 半年ぶりに実物を目にした新聞のテレビ欄にやたらと多い 「(秘)うんたら」「(秘)なんたら」の数に驚いていました。 世界は神秘に満ち溢れているんだね。 さて。この間から青木淳悟さんの小説を褒め(れてない…

青木さん、淳悟さんスゴイよっ!「3」

(承前) 「ある程度人生に見通しを立てた複数の人間が東京都内に新たな住居を探し求めていた。」 という書き方は「ずれてる」と前回書きました。 そうして他の小説家の書き出しをいくつか並べて、 それらがどこか似ているところがある、と書きました。 つま…

青木さん、淳悟さんスゴイよっ!「2」

ひとまず、どこ出身、何年にデビュー、主な作品は[……]みたいな辞書的な情報は、 僕なんかよりwiki氏のほうがぜんぜん詳しいのでそっちを見て欲しいんですけど、 青木さんについて、いくつか書評・感想・批評を回った漁果を並べてみます。 「実験的」「前衛…

青木さん、淳悟さんすごいよっ!「1」

青木淳悟さんというすっごい小説家がいます。 何がすっごいかと言うと、もちろん小説が抜群に面白いことなんですが、 でも青木さんの小説はぱっと見だと、どこが面白いのか、すっごく分かり難い! というか、ほんとうにのめり込むくらい面白い・楽しい・かっ…