ライトノベル読みたい

こんにちは。こんばんは。はじめまして。早稲田文芸会三年の辻井と申します。

もう七月ですね。外は暑いです。涼しい場所で羽を伸ばしたいですね。

さて。

新入生の方々も部室に定着し始め、最近部室がにぎやかです。文芸サークルだけに本の話題が主ですが、どうやら聞いているかぎりですと、サークル員の方々には純文学がお好きな方が多いようです。

ですがわたし、残念ながら純文学なるものの面白さや魅力がわかりません。サークル員の方々が文学や哲学の話題で盛り上がるのを、いつも羨ましく思っています。

そんな無教養なわたしがなぜ文芸サークルに在籍しているのか、というのも、わたしにも好きな本があるからです。早稲田文芸会は本が好きな人には居心地の良いサークルなので、わたし、厚かましくも大学入学当時から今日まで身を置かせていただいております。

わたしは主に「ライトノベル」が好きです。

ライトノベルというと、表紙が可愛らしい女の子の絵、「オタク」と呼ばれる方たちが読むもの、漫画のような小説、などと人によってイメージは様々だと思います。

ライトノベルも立派な文学、ですが、どうもわたしが思いとは裏腹に、早稲田文芸会ではあまり読まれていないようです。文学部の授業でも、ライトノベルを取り扱ったものはありません。

そこで、せめてこのブログでライトノベルについて書こうと思います。

ここではわたしの好きなライトノベルを五つほど取り上げます。わたしごときがこんなことを書くなんて非常に恐縮ですが、よろしければお付き合いくださいませ。

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「新歓ブログ」完結・文学フリマの告知

突然でもないですが、新入生誌の告知も終わりましたので、これにて、「新歓ブログ」を終了します。
以降は、各企画ごとにブログ担当を置いて、その人にもろもろ書いてもらうつもりです。幹事長が私的な無益なことばかり書いてきましたが、みなさまお付き合いありがとうございました。


To.新入生のみなさま

GW明けくらい頃から、早稲田文芸会の会員からMLの招待メールが届くかと思います。
部費納入(半期¥300)・ML加入・学籍番号登録、以上を以って入会完了です。
5月半ばになってもメールが届かない場合は、wasebun2009☆gmail.com(☆を@に)まで連絡をお願いします。


というわけで。最後に告知。


5/10に開催される文学フリマへ、早稲田文芸会も出展します。
会場は大田区産業PIO。各線蒲田駅から徒歩数分。
詳細は、↓を。


http://bunfree.net/


どうやらNHKが桜庭一樹さんを連れてくるようです。
わせぶんのブースはC−36。入り口に正面で背を向けて『季刊わせぶん春の青本』配布予定です。よろしければ、覗いてみて下さい。

write for read

・『トリップ』(角田光代
小説の書き手が世間の人らに伝わりやすいように、わざわざ日常の言葉遣いを小説に取り入れているのは、実は読み手のためにではない。
自分の心の真ん中にぽっかりと空いた冷たくて深くて暗い穴(=狂気?)に呑み込まれないように、日常に自分をしっかりと繋ぎとめて置くために、小説の書き手たちは今日も「まじでー」とか「無ぇわー」とか「ざけんなてめー」とか書くのだ。虎穴にいらずんば虎子を得ず。とはいえ帰って来れなかったら元も子もない。


・アクロバット前夜(福永信
その一文が書かれるまでにたとえ100文書いてあったとしても、1000文書いてあったとしても、それまで書かれた文すべてをぶっ壊さない保証はどこにもない。それまで書かれた文すべてを飛躍的に革新する可能性も皆無じゃない。
「なんて嘘ぴょん♪」と書きたい欲求にかられないような人は似非だし、書くようじゃ二流。


谷川俊太郎コスモロジー
「詩を論じることはできない。詩を学ぶことはできない。詩を教えることはできない。詩を使って何かすることもほとんどできそうにない。詩について何かいろいろにできそうな感じはするけれども、すくなくともそれを論じたり、学んだり、教えたり、使ったりすることは無理ではないかと思える。でも、ふりかえってみると、谷川俊太郎の詩を、ではなくて、谷川俊太郎の詩からずいぶん何かを学んできたし、(後略)」(『谷川俊太郎論 日本語が体験する世界の拡がり』(藤井貞和)より)

新入生誌を作ります(編集者募集)

新入生誌を作ります。


毎年恒例ですが、今年わせぶんに入った面々に、
同人誌製作の何たるかを身をもって覚えてもらおうという企画ですね。


「企画→執筆→校正→編集→印刷→製本」


という本作りの流れを体感できます。疲れるけど、面白い。


数十部刷って、手製本して、部内発行するつもりです。
発行予算は執筆者で割り勘になります。部費から補助金がちょっと出ます。


で、その編集者を募集します。*1
仕事内容は例えば、こんなところ。
詳しくは、wasebun.bfcのレジュメを参照。

編集長(日程管理・ML)
原稿を取りまとめる人
印刷を仕切る人
予算見積もり・印刷所探しする人
執筆者負担金を徴収する人
合評会を仕切る人
会議室を予約する人
装丁(=奥付とか表紙絵)を担当する人

※校正は各自で。校閲は合評会にて相互に。


で、第一回編集者会議を5/5は13:00から実施する予定です。
新入生誌、作りたい・書きたい・描きたいという人は、


①名前
②希望職種(編集者か執筆者兼業か装丁か)


を明記してwasebun2009☆gmail.com(☆を@に)までメールを下さい。
それか、5/5の13:00少し前に部室に顔を出して下さい。
欠席連絡も事前に。


それから、書き逃げ防止というか何というか、基本的に執筆者は下記、必須です。

・編集会議に出る
・合評会に出る
・印刷・製本作業に参加する
・〆切を絶対守る

*1:新入生誌に原稿を投稿したい人には基本的に編集作業をしてもらいます。

失礼な読書

合評会に臨む姿勢について、というか、
文章を読む時の最低限のマナー一般について思いついたことを書きます。
これくらいのこと、文芸作品を読む上で考えないほうが無礼なくらいで、
今さらしかも公に向けて書くのもちょっと寒いとは思いますが、念の為。


以下、文芸サークルに所属して小説を読む場合についての記述ですが、
読み手の方で適宜「置き換え読み」して下さい。
詩、批評、演劇、音楽、映画、漫画、アニメ、ゲーム、AVとかへもたぶん敷衍できるかな。

書き手・作品・他の参加者に最低限の敬意を払いましょう。

「芝居とは最高のものでもしょせん実人生の影にすぎぬ、だが最低のものでも影以下ではないのだ、想像力で補えばな。」(『真夏の夜の夢ウィリアム・シェイクスピア小田島雄志訳)

対象作品はなるべく事前に読んで来てください。
どんなに酷評しようが、嘲笑しようが、激賞しようが、読まずに無視するよりはずっとマシです。
逆に言えば読まれることを意識しないまま文章を公にしてはいけない。
文章をどこかに発表するということは、ありとあらゆる非難・賛嘆・中傷を受けかねない行為だということを知ってください。

「これらの学問すべての、そして一般に(神学や哲学の思考の端緒をもふくむ)人文研究の思考すべての第一次的与件としてのテキスト(書かれたテクストおよび語られたテキスト)。これらの学問や思考が唯一よりどころとする直接的現実(思考と体験の現実)は、テキストである。テキストの存在しないところには、研究と思考の対象も存在しない。」(『言葉・対話・テキスト』ミハイル・バフチン。たしか桑野隆訳)

書き手ではなく、書かれたものを念頭に置いて合評しましょう。
僕らが文芸作品を読むとき相手にするべきなのは、書かれた(or語られた)文だけであって、それ以外にはない。
本文に書かれていない書き手の人格や思想、主張、意図、人生は考慮に入れなくても良いどころか、そもそも入れるべきではない。

「他人を弁護するよりも自己を弁護するのは困難である。疑うものは弁護士を見よ。」(『侏儒の言葉芥川龍之介

だから、書き手の意に反する読みをされたとしても、小説の主人公や物語展開や表現へ過剰に自己投影して反論するのは意味がない。
少なくともその小説のためにならない。
そもそもつまらない小説=つまらない書き手ではありません。誤解なきよう。

だから読み手も、書かれたものから目をそらして過度に書き手の素性に言及するのは控えましょう。

「言葉についても同じことがいえる。「教える」側からみれば、私が言葉で何かを「意味している」ということ自体、他者がそう認めなければ成立しない。私自身のなかに「意味している」という内的過程などない。しかも、私が何かを意味しているとしたら、他者がそう認める何かであるほかなく、それに対して私は原理的に否定できない。私的な意味(規則)は存在しないのである。」(『探求Ⅰ』柄谷行人


言いたいこと、思ったことは、言葉を受け止める立場の人のことを考えたうえでどんどん言いましょう。どんどん言いましょう。
「とりあえず褒める」という姿勢は実はすごく失礼なことです。その人にとっても、自分にとっても、文芸全体に対しても。
「とりあえず貶す」という姿勢も同じようにすごく失礼なことです。


ある小説が面白いorつまらないと感じた、そのことを誰かに話すのであれば、
どこが・どうして・どんなふうに面白いorつまらないのかを考え、それを言葉にするのが大人。それが対話。
書き手が意図しない面白さも当然あるし、読み手が気づかない面白さも当然ある。


明らかに間違っていると思えるような言葉に対しても、無視とかそういうのはせずに、耳を傾けましょう。
出来ることなら優しく論破してあげるといいですね。

ハチミツレモン味のシャープペンシル

「泣いても喚いても殴っても蹴っても凝視しても無視しても絶対になくならないこの世界とかいうどうにもいけすかない存在の、ちょっと独りじゃ耐え切れないくらいな揺るがなさ、脆さ、重さ、軽さ、大仰さ、下らなさ、汲み尽くせなさ、空っぽさ、なんかをちゃんと分かってる人がどこかに一人はいて、自分はその人と同じ時空を生きているのだと思うだけで、僕はなんとなく、直に顔を合わせて話しをすることはなくても、本心はひょっとしたら分かり合えないかもとかでも、勇気が出たり、肩の荷が下りたり、息をついたり、できる。そういう人が小説家になったらいいと思うな。そうしたら生きるのとかもそんなに嫌じゃないしね。」
(『空中庭園』(角田光代)と『謎の男トマ』(モーリス・ブランショ)を読んだ影響で幹事長が恥じらいもなく人生に前向きになっています。ほっとけばすぐにおさまるので、しばらくそっとしておいてあげて下さい。)