とりあえず悩んどきゃ文学かよ

そう言えばいつだったか、
二十一世紀初頭だったと思うけど、
新聞紙上の文芸時評欄で、
「あまり名は知られていないけど
それなりに長く生きてきたし、
人並み以上に本は読んできたよ」
という人が、こんなことを書いていたよ。


ざっくり言うと、
最近の小説は
「私」の苦悩がぜんぜん書かれてなくて、
日本文学の伝統を分かってないよね、
なんて言って、たぶん怒ってた。


保坂和志という猫が大好きな人が
'90年代初めに群像新人文学賞を『プレーンソング』で受賞した時も、
『この人の閾』で芥川賞を貰った時も、
なんか、主人公がぜんぜん悩んでないじゃん、
「文学」じゃないじゃん、
とかで怒られてたらしい。


言葉をちゃんと使おうとする職種の人たちのなかでは、
誰よりもたくさん悩んで悩んで悩み倒した人が偉い!
とか思ってる人が日本にはいるわけだ。


……。


生真面目だなぁ。