きょうのできごと

タイトルは柴崎友香さんの小説から。


柴崎友香さんは風景描写が丁寧で親切な小説家さんです。
読みながら頭のなかで想像するとすごくリアルで楽しくて、
登場人物が数人でお喋りする場面を書かせたら、
そんじょそこらの映画なんかより鮮明な光景が造れる、という人。
(失礼な比較だ。。。)


最近「私」とか「あたし」を使わない書き方に挑戦しているけど、
なかなか上手くいかなくて、
書き出して数ページはちょっとぎこちない感じがするとはいえ、
中盤あたりで書き手の緊張がほぐれて来ると、
そこからぐんぐん面白くなる、という人。


「人が謎な理由で死んだりとか、激しい恋をしたりとか、宇宙人が攻めてきたりとかしなくても、ふつうに人と会って出かけて話すだけで、ぜんぜん楽しいのだ、それって実は何気にすごく価値のあることなのだ」
とか書きたくなる小説を書いている人。


……なんてことならいくらでも書いていられるんだけど、
今日は、気合を入れて、純然たる「日記」を書きます。
と宣言しないと逃げ出してしまいそうです。


どうしてか僕は自分が実際に体験した出来事とか思ったことを
書いたり話したりするのが苦手で、
無理やりやろうとすると、なんか、背筋がぞわー、ってなる(笑)


だから友達や知り合いや見ず知らずの誰かがブログで、
すいすいその人にとっての「きょうのできごと」を
書いているのを読むと、たまに羨ましくなる。


「深夜バスで実家に帰って半年ぶりくらいにテレビを見ながら朝食。
 昼寝して起きたら夜で家族が鍋をしていた。
 それを食べて風呂に入って寝た。」


と書いてはみたけど、なんだかもうすぐにでも大爆発できそうな気恥ずかしさの渦中で息苦しい。
なんでだろ?小説書く時とかはぜんぜん平気なのに。
他の人はどうしてるんだろ?
そんなこと悩んだことない、とかかなぁ。
「と私はブログに書いて、」柴崎友香さんの小説と、三人称で小説を書く困難さ・自由さについて書こうとしている。
話をそらそうとしている(苦笑)
「逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。」
(ひとつめの「 」は『けちゃっぷ』(喜多ふあり)から。ふたつめは『新世紀ーエヴァンゲリオン』から)


というわけで。
「今夜は牡蠣鍋でした。蝸牛じゃなくて牡蠣。蜥蜴じゃなくて牡蠣。」