26日の新人持込合評会で扱う予定のもの

『11日、晴れののち』

『チェス盤の向こう側』

『まどんな☆地獄』

『やわらかい雪の重なる』

『仮説その一』

『赤いノート』

『きつい思い出』

『流れ星のゆくえ』

※原稿置き場のログインIDとパスワードを知りたい方は、
早稲田文芸会公式連絡先までご一報下さい。

25日の『わせぶん読本2009』の合評会で取り扱うもの

「AMTURE YOUNG WRITERS IN JAPAN」(早稲田文芸会の幹事長)

「図書館の女神」(しぐれ)

「わくわくドッキドキ!?適職判断占い☆」(高橋由衣)

「うみとらの記憶」(渡辺遼)

「バナナは黒でも心は錦」(森川祐介)

「扉」(横塚彩佳)

※原稿置き場のログインIDとパスワードを知りたい方は、
早稲田文芸会公式連絡先までご一報下さい。

業務連絡

今週の土・日は合評会+新歓コンパです。


(1)まず、土曜日は、
「うさぎ」が表紙の『わせぶん読本2009』(通称新歓誌)の第一回合評会を行います。
担当さんから対象作品の告知がそろそろ上級生向けにあると思うので、
そしたらまた書きます。


(2)で、日曜日は持込原稿合評会です。
今のところ5人6作品を取り扱う予定です。


両方とも原稿をPCへダウンロードすることができます。
新入生宛てには副幹事松本から置き場所のIDとpassを送信済みですが、
届いてなかったらwabunse2009@gmail.comまでご一報下さい。
入力ミス・転記ミスなどでめーらーだえもんさんが大量発生しております。


新入生・上級生問わず、参加したい人は事前に対象作品に目を通しておいて下さい。
でもって2・3箇所くらい褒め所・貶し所を見つけておくといいですね。
「感想なし」、「最後まで読みきれなかった……」という感想は最終手段で。


(3)新歓コンパへの参加も継続募集中です。
高田馬場のどこぞの焼肉屋にて、¥1000で食べ放題+飲み放題。飛び込みも可ですが、なるべく事前連絡をくれると嬉しいです。

なおやくんとおさむくん(読書会のお知らせ)

明日も読書会ですよ。


先週土曜日の読書会は幹事長の乱心で論が空転しましたが、
日曜日は新入生が一人しか来て(なくて衝撃を受け)たんですが、
明日も読書会をします。メインは太宰治
因縁の仲たる太宰治志賀直哉と、
あと高橋源一郎も読書会用のレジュメに引用されてたかな。


高橋源一郎と言えば、
デビュー作で志賀直哉大先生をこっぴどくこき下ろした人として、
業界関係筋では伝説となっています。引用可能な部分だけ、ちらっと。
たぶん誤解を招くと思うけど、
誤解の総体が大いなる理解になるかもしれないし、
誤解の総体が大いなる誤解になるかもしれないから、
まぁ、いいや。
ジョン・レノンVS火星人』より。

わたしは悲しかった。
わたしは「現代名文全集」に必ず載っている「城の崎にて」の哀れな蜂の死躰のように悲しかった。
わたしが蜂だったら、絶対に志賀直哉の前では死ななかったのに。
蜂さんたち! どうせ死ぬならリチャード・ブローティガンの前で死ねば良かったのだ。


なんか知らぬけど世界中で愛されてるっぽいM上春樹さんのと違って、
源一郎さんの小説はただでさえ誤解→拒否→無視が多いから、
やっぱりいちおうフォローをしておくと、


明治維新以降の普通教育が画一的に推進していた道徳教育の模範的な振る舞いっぽい、
蜂というちっぽけな命だけれど、そのちっぽけな死は淋しい、
とかいう「私」の気持ちが『城の崎にて』には書かれいます。


けどそういう振る舞い方って、見方によっては、
「善良で倫理的で思いやりのある人」とかいう不動の立場から一歩も動こうとせずに、
「カワイソーネー」なんて高みで左団扇する余裕のある、
恥知らずなリア充の軽率な感傷だとも言えてしまうわけです。
その人が常に「良い人」なせいで周囲がいっつも「悪い人」になってしまうわけですから。


一方リチャード・ブローティガンはと言うと、
彼のデビュー作『アメリカの鱒釣り』にこういう描写がある。

男は仲間を食うのに余念のない一匹の鼠に近づき、その頭にピストルをつきつけた。鼠は身じろぎもせず、ひたすら食いつづける。撃鉄がカチリと上げられると、鼠は噛むのをちょっとやめて、ちらっと横目で見た。まずピストルを、それから男を。「おいらのかあちゃん若いときにゃ、ディアナ・ダービンみたいに歌ったんよ」とでもいっているような、なんかこう親しみをこめた目つきだった。
男は引き金をひいた。
やつにはユーモアのセンスなんてないんだから。


志賀直哉を引用しない僕も卑怯だとはいえ(だって長いんだもん)、
何かや誰かが死ぬことに対する、
わずかだけど厳然とした違いが二人には見える。


ブローティガンは、誰かや何かが死ぬことの、
どうしようもない滑稽さを知っている(かのように書けている)。
いきなり、しかもさりげなくやって来る死の瞬間の、
なんかこうユーモアとかに逃げ込みたくなるような
取り返しのつかなさを知っている(気がしてくる)。


というのを踏まえつつ読むと、
直哉とリチャードの「死」の捉え方の差を数行で語り切った、
という一文の密度だけではなくて、


「名文」=「整理された読みやすい分かり易い文」だと思い込んでる、
世間の「名文全集」読者の無自覚な向上心に、
滑稽味を濃い目にして釘を刺すという芸当まで、
さっき引用した数行で高橋源一郎はやってのけてるのだ。と言える。


しかも、いま言ったみたいなことを計算づくで書いてるわけじゃなくて、
たぶんほとんど本能的に、身体の延長としての言葉をフル稼働させて、
「志賀→名文→蜂→イヤ!→逆に→ブローティガン→好いね!」
くらいの瞬発力でもって、一気阿世に書いている。


結果生まれたものすごい強度の(連想や思考をぐぃっと呼ぶ)文章ですよ。


で、まぁここまで書けば、太宰治がどっち側の人かは、
読んだことない人でもなんとなく分かるかなと思います。
(分からなかったら単に僕の説明不足です。)


というわけで、明日は読書会です。
詳しい日程は、4/18(土)13:00〜 @W507です。
場所が分からなかったら、部室(E728)に顔を出してみて下さい。
幹事長は明日はなるべく黙ってます。。。

向田邦子の手紙の誤配可能性一般について

・『存在論的、郵便的』のオチが意外に予想通りで驚いた。
とはいえそこへ到るまでの過程が抜群に面白い。
『キャラクターズ』なんかより『ファントム、クォンタム』なんかよりずっと小説的感動を呼び起こしてくれる一冊。
主役がデリダ。助演があずまん。


柄谷行人『探求Ⅰ』より。
「(前略。マルクスについて語る途中で)商品の価値は、前もって内在するのではなく、交換された結果として与えられる。前もって内在する価値が交換によって実現されるのではまったくない。
 言葉についても同じことがいえる。「教える」側からみれば、私が言葉で何かを「意味している」ということ自体、他者がそう認めなければ成立いない。私自身のなかに「意味している」という内的過程などない。しかも、私が何かを意味しているとしたら、他者がそう認める何かであるほかなく、それに対して私は原理的に否定できない。私的な意味(規則)は存在しないのである。」
ざっくり言うと、自分の書いた文章の「意味(=価値?)」を決めるのは、あなたではなくて、誰か別の人なのだよ、みたいなことを言っている。
自分が思ってたのと違う読み方をされる可能性を許容できる人って、社会的。


向田邦子『無口な手紙』より。
「月並みなことだが、
 簡潔
 省略
 余韻
 この三つに、いま、その人でなければ書けない具体的な情景か言葉が、ひとつは欲しい。」
言わずもがな小説も手紙(誰かが誰かに宛てて書く文章)の一種です。
ってか、自分の小説観がぴったり収まる文章を発見した感銘ってすごい。

脳内がしこたまメルヘン

脳内が女子高生的メルヘンでいっぱいな男の子がおりました。
芥川龍之介とか夏目漱石がしてたみたいな古臭い小説作法を
ちゃんと守るのが「良い小説」の書き方だとか思ってたやつで。


彼も世間に遍き発芽したての文学青年と同じく、
人生のなかでも比較的早い時期に、
「群雲が月を覆った。」
なんて仰々しい書き出しで、
ストーカーに悩む会社員(女・二十代)を20枚くらいものして、
W大の文芸サークルに持ち込みしまして。


しかもそこそこ褒められた。
本人評価額の二割り増しくらい。
語り口と物語の軋みに先輩方が目をつむってくれたのでした。
そうして図に乗って不遜になった彼。


善良な市民の迷惑になるので、
原稿ともどもすぐに僕が抹殺しておきましたが、
当時の彼がすごく感慨に耽った先輩のひと言に、
「タイトルが秀逸」というのがありました。


「向き合う」なるお題で書かれた「向き合う」という小説で、
物語の冒頭で会社員(女・二十代)は残業帰りに、
道を歩きながら「尾行されてる感」を味わいます。
それからしばらく、決まった曜日にそれを何度も味わいます。
彼女はそれを怖がった。
彼女はそれを不審者(男・四十代?)だと勘違いして、
警察とかを呼ぶのも大仰な気がして、
同僚(女・二十代)に防犯対策を教わったりなどしつつ、
毎回「今日こそ振り向こう」と思う。けど無理。やっぱ無理。
先輩が「これ『向き合う』だよ〜」なんて言ってくれて。


で、ある日。ついに不審者が尾行に飽きて接触を試みてくる。
怖い。逃げる。追われる。逃げる。追われる。肩をつかまれる。
「怖ッ」と思ってたら背後で(男・四十代?)のうめき声がして、
振り向くと、塾帰り(男・十代)が野球のボールで、
不審者(男・四十代?)を退治してくれてたっぽい。
先輩が「これも『向き合う』だよ〜」なんて言ってくれて。


流れ的に塾帰り(男・十代)を家に連れ込んで事情を聞くと、
どうやら毎週の「尾行」は塾帰り(男・十代)の仕業で、
不審者(男・四十代?)は急襲した異物のようだ。
彼が助けてくれたのだ。
ここ数ヶ月あんだけびびってたのに、
なんだか不意に嬉しい会社員(女・二十代)。
買い置きしといたプリンをご馳走してしまっている。
先輩が「これも『向き合う』だよ〜」なんて言ってくれて。


会社員(女・二十代)「そういえば名前は?」
塾帰り(男・十代)「(同僚(女・二十代)の弟の名前)です」
会社員(女・二十代)(さて、これからこいつをどうしようか)
というオチ。
先輩が「これも『向き合う』だよ〜」なんて言ってくれて。


……。


けど、先輩、ごめんなさい。
「タイトルはてきとー」です。まったくもって。
脱稿or起稿した当時の語感が「好いね」とゆった単語をてきとーに拾っただけ。
というか、なんか、実作にしばらく携わった身として最近ひしひしと感じるのは、
タイトル自体に深い意味とか物語全体の統一なんてぜんぜんなんてなくて、
実は書き手もそんなこと大して考えてないようですよ。
わざわざそんなことするのは僕はなんか大げさな気がしますよ。
タイトルと本文で二度同じ物語を語ることになるわけだから、くどい気がしますよ。


まぁそこは好き好きだろうけど、というわけで。


このブログの数少ない読者の方々もみんな小説書いてみたらいいよ。
ブログでささっと語り切れちゃうくらいの薄っぺらい物語でも、
ちゃんと読んでくれる先輩がいますよ。
お座なりに流し読みして「うん。好いよ〜」で終わらずに、
ちゃんと読んでくれる先輩がいますよ。


あなたの書いた小説に対する礼儀としても、
過去に書かれた幾多の小説に対する礼儀としても、
当然褒められるべき箇所は褒める。
指摘されるべき箇所は指摘する。
敲くべき箇所は敲く。
けどそういう風に、
ちゃんと読んでくれる先輩がいますよ。


どう、書かない?

持込み原稿募集期間延期のお知らせ

読書会後記の・ようなものでも書くといいかもしれないんですが、
まずはお知らせ。原稿募集期間を一週間、延期します。
原稿があまり集まっておらんのです実は。
ということで、持込み合評担当者から、お知らせ↓。

早稲田文芸会からのお知らせです。
御存じの方もいらっしゃると思いますが、新入生を対象とした合評会が4/26に行われます。
合評会とは、皆さんで自分の作品を持ちよって、色々と話し合う会です。
時にはのんびりとした空気が流れ、時には白熱した意見の応酬が繰り広げられ、時には作品とまったく関係のない話をしていたりします。
さて、本題です。
その合評会の作品受付の締め切りが変更になりました。
新しい締め切り日は4/18(土)の23:59です。
少しでも多くの方の参加をお待ちしています。
以下は募集要綱等となりますが、その前に一つ注意事項を。
作品を出していない方も合評会自体には参加可能です。ぜひお越しください。また、作品を出された方は出来る限り、合評会に参加いただければ幸いです。

・募集要項
締め切りは4/18(土)23:59。
長さは400字詰め原稿用紙換算で30枚以内。
高校時代に書いた過去の作品や大学に入学してからでの書き下ろし等、創作物の製作時期は問いません。
メールによる電子提出はwasebun2009★gmail.com(★を@に変えてください)まで。
メール本文に、
お名前(本名)
PN(希望なら)
作品タイトル
印刷形式の希望(縦書or横書、特殊なフォントの使用等)
所属学部
学年
合評会に参加できる時間帯
を明記の上、原稿をdocかtxtの添付ファイルにして提出をお願い致します。
なお、docx(word2007以降での標準形式)での送付は展開時に一部不具合が発生する可能性がありますのでご注意下さい。
また、手持ちによる提出も受け付けております。お近くのわせぶん部員にお渡しください。
その場合、原稿と一緒に上に書き記した要件を忘れずに添付してください。
いずれの作品も、早稲田文芸会が印刷して当日の参加者に配布を行います。
合評会前の作品の閲覧についてですが、校正が終わり次第、gmailで公開します。
また、部室に印刷したものを置く予定です。
合評会は、4/26(日)の13:00から行います。また、予備日は4/25(土)の13:00からです。
会場は、学生会館W507です。